イビキのメカニズム
イビキの原因は、空気の通り道が狭くなること
「イビキ」には音の高さ・大きさ・連続性など個人差があります。
同じ個人でも、枕の高さや寝るときの姿勢、飲酒やその日の体調などによってイビキの様子も変わってきます。しかし、イビキが生じるそもそものメカニズムはみな同じです。
イビキの主な原因は、空気の通り道である「上気道」が何らかの原因で狭くなることにあります。狭いところを空気が通ろうとすると空気抵抗が大きくなり、呼吸をしたときに粘膜が振動して音が生じます。この振動音が、「イビキ」です。
上気道を狭めてしまうことには、寝ているときの姿勢が大きく関係します。
寝ているときは体がリラックスして舌や咽頭周りの筋肉も緩んだ状態になっているため、より上気道が塞がれやすくなるのです。
「イビキ」と「口(くち)呼吸」の関係
口で呼吸をしていると鼻呼吸に比べ軟口蓋が落ち込みやすく、より空気抵抗を大きくします。 実際に、イビキをかく人のほとんどが口をあけたまま、口呼吸で寝ています。 また、イビキ以外にも、様々な病気を招く可能性があり、要注意です。
イビキをかきやすい人
体質はもちろん、生活習慣もイビキに大きく関連
日本人で「イビキ」をかく人は男性の24%、女性の10%と報告されています。(※イビキには、元々の日本人の骨格的な特徴に加え、後天的な生活習慣の変化が大きく関連していると考えられます)
口、鼻、ノドなど、空気の通り道に注目
- 首が太くて短い
- 口蓋垂(のどちんこ)が長い
- 舌が大きい
- 鼻中隔湾曲症(鼻が曲がっている)
体型や生活の変化をきっかけに、イビキが始まることも
- 肥満傾向がある(首まわりにも脂肪がつきやすく、上気道を狭めやすくなる)
- 仰向けで寝る(重力によって上気道まわりの組織が落ち込みやすくなる)
- 口呼吸をする
- 鼻づまりなどの鼻症状がある
- ストレス・疲れが溜まっている
- アルコールを習慣的に摂取する
女性のイビキにも要注意
一般的に女性でイビキをかく人は少ないと思われていますが、更年期を迎えた女性は女性ホルモンが減少するため、それまではかかなかったイビキをかくようになる場合があります。上気道開大筋という上気道の開存を維持しようとする筋肉の働きを活発にさせる作用が女性ホルモンにはあります。
本当は怖いイビキのこと
イビキの陰に潜む、様々な悪影
最近「イビキ」は、身体に何らかの不調が起きているサインであることが分かってきました。
イビキが睡眠時無呼吸症候群(SAS)の代表的な症状であるということは、睡眠中の酸素不足やホルモン異常が起きる可能性があります。
口呼吸が招く様々な病気
イビキをかく人のほとんどが口呼吸をしています。イビキと口呼吸は密接な関連があります。そして、口呼吸はSASを代表格として、身体に対する様々な影響を生み出します。
たとえば、口呼吸では空気中の細菌が容易に体内に侵入しやすくなるため、扁桃炎になりやすくなることも考えられます。
口呼吸が関連して生じる症状・リスク
- 睡眠時無呼吸症候群
- 免疫力低下
- 成長ホルモン分泌の減少
- 扁桃炎
- ウイルスによる口内炎
- 歯周病、口腔乾燥症、口臭の悪化